不器用オオカミとひみつの同居生活。




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劇が終わったあとは自由時間で、すうちゃんと文化祭を回っていた。


着替えようとしたけど、「せっかくだしその格好のまま行ってきなよ」と言われたので私もすうちゃんも衣装のまま。

ちょっと人目を引くけど、気になるほどではなかった。



「カヤ、次ここ行こっ。マッスルカフェ!」

「なんでそうヤバいとこばっかり目がいくかなぁ」

「だめ?」

「う……いいよ、いこ」


すうちゃんの涙目は最強だ。

自分の強みをわかっているすうちゃんも最強だ。



目的地も決まり、のんびり向かっていたときだった。



「あっいた!蘆田さーん!蘆田すみれさーーん!!」

「え?すう?」


突如として廊下に響き渡る、複数人の声。



「やっと見つけた!……うん、合ってる」


振り返ったすうちゃんの腕を、いきなり現れた男の人ががしりとつかんだ。

なにやら写真のようなものと、すうちゃんの顔を見比べている。



「えっと……知り合い?すうちゃん」

「ううん違う。あんた誰」


いきなり掴まれたことが不快だったんだろう、じろりと男の人を睨みあげるすうちゃん。