不器用オオカミとひみつの同居生活。



「白雪姫の子、めちゃくちゃ色白い!」

「アンニュイな白雪姫だ」

「歌も上手だし、透明感の塊じゃない?透けてみえる……」


観客席からの声にはなるべく反応しないように、と委員長……監督からキツく言われていた。


それでもやっぱり気にしてしまうのは、ひとりの存在。



……集中しよう。


というかまた透けて見えるって、なんのこと!?

ひやりとしたけど、なんとか歌い終わることができた。



いまは小人のターンで、白雪姫はちょっとだけ端に寄る。


踊っているすうちゃんと目が合ってウインクをされた。



返せないよ……


でもちょっとだけ、にこりとしてみせる。


それが一部の観客席から見えていたみたいで、すこしざわついた。



「白雪姫の子って誰?」


茅森です。すみません。



「俺タイプなんだけど。劇終わったら告ろ」


告るどうこうは置いておいて、いまのところ順調に進んでいる。


観客の反応も良好だったけど……まだ最高潮とはいえない。

そう、一番の盛り上がりは────





「えっあまねじゃん!」

「うそ、めっちゃかっこいいー!」

「加瀬沢が王子かよー!」



もちろん周くんの登場シーンで。