不器用オオカミとひみつの同居生活。




本日は晴天、文化祭日和なり。



「カヤかっっっわいい!!髪伸びた!」

「エクステって初めてなんだけど……大丈夫かな?」


いつもは肩にかかるくらいの髪も、今は胸近くまで伸びている。


すうちゃんは目を輝かせながら、まるでワンコみたいに私の周りをぐるぐる回っていた。



「360度どこから見ても、エグいくらい似合ってるよ!」



まだ朝日の差し込む教室で、すでにみんなの盛り上がりは最高潮だった。



「おかしい、あまねが王子さまに見える」

「カセのくせにかっこいいじゃねーか!」


「ひでー言いようだなお前ら!」


少し離れたところで囲まれている王子さま姿の周くん。

その人気っぷりも今日は拍車がかかっている。



かくいう私も、このときだけは周くんと同じように囲まれていたのだった。



「茅森さんすげー!」

「すっごい儚い。いまにも透けちゃいそう……」


「あ、ありがとう」



こんなに賞賛されるとは思ってなかったから、恥ずかしくてはにかむように笑う。


というか、透けちゃいそうってどういう意味なんだろう。

あらためて自分の姿を確認するけど、ドレスが透けているってわけじゃなさそうでひと安心。