「ん、よし。いー感じ!茅森ちゃんはどうだった?」
周くんの問いかけに私は焦らすように溜めたあと、Vサインを作った。
「完璧っ!」
今までの中で一番の出来だった。
それは周くんも同じなようで、Vサインを返したあとずっと流れていた曲を止めた。
「じゃあ今日は早めに帰るかー。あんま根詰めすぎて身体壊したら元も子もねーし」
「そうだね」
いつもより早いとはいえ、最近では日が落ちるのも早くなっている。
その証拠に、教室を消灯したら一気に辺りが暗くなった。
鍵を返しにいって、下駄箱まで一緒に歩く。
「本当にありがとうね、周くん。最後まで練習に付き合ってくれて」
そう。
今日は文化祭前日で、明日が本番だった。
あれだけ不安に思っていたのが嘘みたいに、今の心は晴れ晴れとしていた。
まだ終わってないのに、達成感さえも感じてしまっている。
気を引き締め直してローファーに履き替えた。
「わ、今日すっごい寒いよ。マフラー持ってきたらよかった」
昇降口から入ってくる風がするりと肌を撫でていく。



