「ねぇお母さん。私の名前、なんで憂にしたの?」 学校から帰ってすぐ、お母さんにたずねた。 うちはお金持ちだったからお母さんは一日中家にいる。 お酒を飲んでいたお母さんはなんだか機嫌が悪そうだった。 「お母さ────」 「ああもう、うるさい。憂鬱だって思ったからよ!」 何の前触れもなく知らされた自分のヒミツ。 こんなにもあっけなく、無情に。 私の部屋にあったたくさんの賞状や満点のテスト。 その全部の名前を塗りつぶし、破って捨てた。