不器用オオカミとひみつの同居生活。




なんて、実を言うと最初から薄々気付いてました。


あたしが花平くんに助けられたのは、1年の時の冬。
すごく寒い日だった。

部活帰り、急に現れた不良たちにからまれたの。

わけが分からないままあたしは人質として、花平くんの前に連れていかれた。
たぶん同じ学校の制服だったから、使えると思われたんだろうね。

でもそのときあたし、絶対助からないって思った。

花平くんのことだって良い噂は聞いてなかったし、そもそも同じクラスなのに話したことなかったし。


でも花平くんはあたしを助けてくれた。

一歩でも動いたらあたしの安全は保証しないって言われたら、花平くんはその言うとおりにしたの。

話したこともないあたしのために、一方的に殴られてた。


隙をついてあたしを逃がしてくれたから、そのあとのことはよく分からなかったんだけど、少ししてその場所に戻ってみたら何人か倒れてた。

けどそのなかに花平くんの姿はなくて、あたし、すぐ家に帰れって言われてたのに探しに行ったんだ。


案外すぐ近くに花平くんはいた。

コンビニの前、誰かと一緒にいたの。