不器用オオカミとひみつの同居生活。



「あんたって性格だけじゃなくて手先も不器用なんだね……って、なんで泣いてんのよ」

「ごめ……涙が勝手に、止まらなくて」

「泣きたいのはこっちだっての」


涙を止めるためのツボを押してみても、宙を仰いでみても無駄だった。


一度降り出した雨はなかなか止まない。


「どうしようこっちゃん。涙が止まらないよ」

「……あたしだって止めたいし」


「こっちゃん、そのクマ」

「まだもらうって決めたわけじゃない」

「く、くりーむ次郎って名前ついてるから……」

「……あんたって、救いようのないバカだね」


泣き笑いを浮かべたこっちゃんは、私のものだったクマをぎゅっと胸に抱いて。