不器用オオカミとひみつの同居生活。



探しはじめて、そろそろ体力が限界に近づいてきたころ。


視界の端に2人の姿が飛び込んできた。

こっちゃんが壁に押しやられていて、胸ぐらを掴まれているようにも見える。


人通りの少ない廊下で、というかあのときと同じ場所で話していたから。

フラッシュバックする記憶を無理やり振り払って、2人の間に入った。



「や、やめてっ!」


突然入ってきた私を、2人は驚いたような目で見た。


でもさすがに花平くんは頭の回転が速くて、すぐ私を遠ざけようとした。


「お前は向こう行ってろ茅森」


「じゃあその手を離してください」


花平くんは舌打ちをして、こっちゃんの制服から手を離した。



「なんなの……なんで、あんたの名前は覚えられてるのよ!ねぇ、なんで!」

「きゃっ……!」


肩を押されて、後ろによろける。


床に頭を打ち付けなかったのは、花平くんが支えてくれたから。