「そういえば……こっちゃんは?」
「琴音?さっき花平と一緒に教室出てったよ。
こうやって手繋いでさ、まさか告白かな!?」
……違う。
たぶん、違う。
嫌な予感がして教室を飛び出した。
うしろから聞こえたすうちゃんの声にも言葉を返す余裕はなくて。
病み上がりの身体にムチを打って、2人の姿をさがした。
もしかしたら本当に告白かもしれないのに。
そう思いきれないのは、最後に見た花平くんの瞳。
「……お願いっ、」
何を祈ってるのか自分でもわからなかった。
だけどそう言わずにはいられなくて。
アテもなく廊下を駆け抜けながら、ずきんと額の傷が痛むのを感じた。



