「花平くん」
「なんだよ」
「ハリーポッター」
「引くほど笑えねぇ」
包帯を変えるとき、おでこにあった傷はたしかに深かった。
花平くんはいつも病院にいてくれた。
私のことはいいから学校に行って、そう伝えても聞き入れてもくれなくて。
ずっと私のそばにいてくれた。
すうちゃんや周くんが来る前には、何か気配を察したネコのようにどこかに行くけど……2人が帰ったらまたいつの間にか隣にいた。
傷口を刺激しないように前髪をとめているから、いまの私はでこっぱち。
視界が良くて、いつもよりはっきり花平くんの顔も見ることができた。



