不器用オオカミとひみつの同居生活。



花平くんはどうするのか聞いたら、すこし黙ったあと私の手をとって。



「……ここにいる。から、さっさと寝ろ」

「子守歌歌ってくれますか?」

「ちょーしのんな」


おでこを弾かれそうになったから、あわてて隠してちいさく笑った。


笑ってないとまた泣いてしまいそうで。

それを知られたくなくて、とっさに冗談を言ってしまった。


もっと、ほかに言うべきことがあるはずなのに。



「たす……」


びっくりするくらい声が震えていたから口をつぐんだ。

さっきまでは平気だったのに、気を抜いたらすぐにこうなってしまう。



そのときだった、包まれた手にほんの少し力が込められたのは。


見上げると花平くんは目を閉じていた。


だけど起きてるはずで、

私の心の中がぜんぶ見透かされてるような気がして。


もう何も言わなくていいって、伝わってるからって。

そう言ってくれているようで。



『助けてくれてありがとうございます』


そんな言葉を手のひらにのせて、少し迷ったあと。


私もほんのすこしだけ、指に力を入れた。