バックヤードで制服から着替えて、外に出る。
小雨には変わりないんだけど、さすがに濡れたくないしなぁ。
「……走るか」
家まで走りきれる自信はなかったけど、途中どこかで休憩したらいいや。
そう思って走り出そうとしたときだった。
「茅森」
「花平くん」
呼ばれた先にいたのは、傘を差した花平くんだった。
「買い物ですか?」
「迎えにきた」
「…………誰を?」
「お前以外に誰がいんだよ」
辺りを見回す。
たしかに、いまここにいるのは私だけだけど……
「あの花平くんが?わざわざ私を迎えにきてくれたんですか?」
「……帰る」
「わー!待ってくださいごめんなさいっ」
そのままUターンして帰ろうとした花平くんの傘の中に飛び込んだ。
びっくりした。
まさか迎えにきてくれるなんて。
花平くんはいきなり入ってきた私をちらりと見たあと、傘を私のほうに傾けてくれた。



