「わ、雨降ってる」
閑古鳥が鳴いている店内、そんな声につられて私も外を見た。
「本当だ。私、傘持ってきてないや」
「そこにあるよ、お高いビニール傘」
「あれは一生買うことはないかなぁ」
「あはは、うちも。じゃあよかったら貸そうか?うちが帰る頃には止んでるかもだし」
ホットスナックを補充していた同期の女の子は、くるくるに巻いた髪の毛を揺らしながら壁に掛かってある時計を確認した。
「カヤちゃんもうあがりでしょ?うちの傘使いなよ」
「ありがとう、でも大丈夫だよ。家近いの。それに小雨だし」
切れ目なく降ってるけど、はっきりと目に映らないような細い雨だった。
どんよりとした雨雲はむしろ止むどころか、これからもっと雨脚を増すことを警告しているようで。
「そう?じゃあ気をつけて帰ってね」
「うん、ありがとう」



