帰りのバスのなか、こっちゃんはあれ?と不思議そうな声を上げた。 「それ、虫刺され?」 「え……ど、どれ?」 「これ。この赤いぽつんとしたやつ」 鏡のなかに映る私の首にあった、赤い跡。 ……これ、は。 「カヤちゃん暑いの?窓開けようか?」 「いや、大丈夫……」 こうして1泊2日のオリエンテーションは幕を下ろしたのだった。