気を失ったことは初めてで、じわじわ目が覚めるという経験も初だった。
うっすら広がる、見慣れない天井。
ずらりと並んでいる自販機。
「……ここ、は?」
「あ、よかった。気が付いた」
ぼやけた世界で、周くんが私をのぞき込んでいた。
ゆっくりと目をしばたかせて、何があったんだっけって思考を巡らす。
露天風呂に入ってたとこまでは覚えてる。
それで、じつは男湯で、周くんと鉢合わせちゃって
クラスの人たちも入ってきちゃって。
周くんが私を助けてくれて……それから?
そのあとどうなったんだっけ。
記憶がまるでなくて、なんで休憩所にいるのかわからなかった。
「茅森ちゃん、のぼせて倒れたんだよ」
「のぼせ……ああ、そういえば」
「ごめんな、気付いてやれなくて」
「いや、いやいや周くんが…謝ることじゃないから…」
まだぼんやりしてる頭でもそれだけは断言できる。
自分でも気付かなかったのに。
彼を責める気持ちなんてあるわけがない。



