不器用オオカミとひみつの同居生活。



「周くん、実はね」


誤解を解こうと、すっと顔をあげた。


そのときにあらためて周くんの姿を見てしまった。


水泳部で鍛えぬかれた腹筋が目に入って、あわてて視線を上にはずした。



お次は髪をかき上げている周くんの顔がすぐ近くにあって。


濡れた横顔から目が離せなくなった。


う、うわ……色っぽい。



というかどこに視線やったらいいかわからない!


あまり広がっていると見つかるからか、私と周くんの距離はかぎりなく近くて。


岩と周くんにはさまれるようなかたちになっている私。


そうだ、こういうときは素数をかぞえて……




「っやべ、こっち来る……」

「っ!?」


頭のなかの数字が一気に飛んでった。


向こうから見えないように、身をよせた周くん。

ぐっとさらに密着して、もう少しで肌と肌が触れてしまいそうだった。