「ありゃなかなか出ていきそうにねーな……茅森ちゃん、まだ大丈夫?」
「う、うん。私は大丈夫……でも、なんで周くんも一緒に?」
助けてくれたのはすごくありがたかったけど、もしこれで見つかったら周くんまでヘンな誤解をされかねない。
「はは、わかんねーや。気付いたら俺も隠れてた」
そこで初めていつもみたいに笑ってくれた。
こんな状況なのに、その笑顔にほっとしてしまう。
「いざとなったら俺が注意引きつけるからさ」
「あ、ありがとう……ごめんね」
「まーニンゲン間違うときもあるよな」
なんて寛大なんだろう。
周くんに後光が差しているようだった。
私、周くんがいなかったら人生終わってた。
こんなこと思うのはおかしいし絶対本人に言えないけど、鉢合わせたのが周くんでよかった。
とはいえ、
のれんが替え忘れられてたことは説明させてください……



