「カヤちゃんは?好きな人とかいる?」
しゃべり疲れたのか、いったん休憩するように視線を向けられる。
「うーん、そういうのはないかなぁ」
「じゃあ初恋は?初恋は誰だった?」
……私の初恋は小学生のとき。
その頃一番関わっていた人で、私は気付いたらその人に好意を寄せていた。
「……病院の先生、かな」
刈谷先生。
そう、私の初恋の相手は刈谷先生だった。
お世辞にもスリムと言えない体型で、笑うたびにほっぺやあごのお肉が揺れる。
優しい笑顔が私の心の傷を癒やしてくれた。
病気にかかった私に、誰よりも真剣な瞳で向き合ってくれた。
そんな先生を幼いながらに好きになってしまった私。
きっとあれなんだと思う。
小さいときに、“大きくなったらパパと結婚する!”っていう、あれ。
たぶん、私にとってのそういう感情が刈谷先生に向いたんだ。