降りてすぐ、私はこっちゃんに引っ張られて花平くんの元へ。
「花平くん!」
こっちゃんが声を張り上げて、ゆっくりと振り返った花平くんは。
「……なに?何か用。茅森」
ぎょっとしてうつむいていた顔を上げた。
名前を呼んだのは私じゃなかったのに、
花平くんが呼んだのはまぎれもなく私の名前。
こっちゃんはとくに気にしてなかったけど、
私は内心どきどきしていた。
べつに学校では知らないふりをしようとか、一緒に住んでいることは秘密にしようとか決めているわけじゃなかった。
それでもこっちゃんが花平くんに恋をしていると知って、私と花平くんの関係を言い出せなくなり、いまに至る。
……いや違う。
関係も何も、私たちは赤の他人だよね。
いろいろあって一つ屋根の下で暮らしているだけで、赤の他人。
「つーかお前、どっかで見たような」
「き、木下琴音!
花平くんと去年から同じクラスで……
その、前に一度会ったことがあるんだけど」
「会ったっけ」



