長かった学校が終わると、予定どおりスーパーに寄った。
店内は夕方の時間帯ということもあって、わりと混雑していた。カゴを片手に持って必要な食品を入れていると、誰かに肩を叩かれた。
「今井さん」
それはクラスメイトの冨山みちるだった。
とくに接点があるわけではないけれど、彼女は他の人たちと違って私のことを空気みたいに扱わない。
学校でもたまに声をかけてくれることもあるけれど、私は表面的な返事しかしない。きっと無愛想で感じ悪く映っているはずなのに、彼女は今も私に話しかけてくれた。
「今井さんも買い物?」
「……う、うん」
「そっか。私も親に頼まれて寄ったんだ!」
明るい笑顔を向けてくれているのに、私はうまく会話を続けることができない。
「……ごめん。私、急いでるから」
結局、私はいつものように一方的に話を終わらせて、そそくさと冨山さんから離れた。



