16歳、きみと一生に一度の恋をする。



長かった学校が終わると、予定どおりスーパーに寄った。

店内は夕方の時間帯ということもあって、わりと混雑していた。カゴを片手に持って必要な食品を入れていると、誰かに肩を叩かれた。


「今井さん」

それはクラスメイトの冨山(とみやま)みちるだった。

とくに接点があるわけではないけれど、彼女は他の人たちと違って私のことを空気みたいに扱わない。

学校でもたまに声をかけてくれることもあるけれど、私は表面的な返事しかしない。きっと無愛想で感じ悪く映っているはずなのに、彼女は今も私に話しかけてくれた。


「今井さんも買い物?」

「……う、うん」

「そっか。私も親に頼まれて寄ったんだ!」

明るい笑顔を向けてくれているのに、私はうまく会話を続けることができない。


「……ごめん。私、急いでるから」

結局、私はいつものように一方的に話を終わらせて、そそくさと冨山さんから離れた。