16歳、きみと一生に一度の恋をする。




「お、可愛い子発見」

「高校生? こんな夜にひとりでいたら危ないよ」

コンビニの前を通りかかると、ガラの悪い人たちに話しかけられた。どう見ても未成年に見えるけれど、ほのかにお酒に匂いが漂っている。


「暇なら俺らとどっかに行こうよ」

行く手を塞ぐように囲まれてしまい、私は目を合わさないように下を向いていた。


「……用事があるので」

「用事ってなに? 一緒に行くよ。ボディーガード」

ゲラゲラと品のない笑い声が耳に響く。どうやって逃げようかと困っていると、男たちの視線が私の背後に向けられた。


「邪魔」

振り返ると、なぜかそこに藤枝晃が立っていた。


「女ひとりを囲んでんじゃねーよ」

ギロリと睨みながら一喝する。


どうやら男たちは一方的に彼のことを知っていたようで、「やべ。藤枝じゃん。行こうぜ」と、逃げるようにどこかへ行ってしまった。


……なんかわかんないけど、助かった。

彼はコンビニから出てきたところだったらしく、その手に袋を持っていた。

カーキ色のブルゾンを着て、下はラフなスウェット姿。

制服を着ていても同級生には見えないのに、私服だとより大人びた印象に感じる。


男たちが一瞬で怯んでしまうのもわかる気がする。

大きな身長と体格もそうだけど、この人には勝てないなという圧倒的なオーラを放っているから。


「お前さ、こんな時間に歩いてるとかどういうつもり?」

「どういうつもりって……なにが?」

「十一時過ぎてんだろ」 

「まだ十一時でしょ」

「は?」

怒りの矛先が今度は私に向けられている。