「お、可愛い子発見」
「高校生? こんな夜にひとりでいたら危ないよ」
コンビニの前を通りかかると、ガラの悪い人たちに話しかけられた。どう見ても未成年に見えるけれど、ほのかにお酒に匂いが漂っている。
「暇なら俺らとどっかに行こうよ」
行く手を塞ぐように囲まれてしまい、私は目を合わさないように下を向いていた。
「……用事があるので」
「用事ってなに? 一緒に行くよ。ボディーガード」
ゲラゲラと品のない笑い声が耳に響く。どうやって逃げようかと困っていると、男たちの視線が私の背後に向けられた。
「邪魔」
振り返ると、なぜかそこに藤枝晃が立っていた。
「女ひとりを囲んでんじゃねーよ」
ギロリと睨みながら一喝する。
どうやら男たちは一方的に彼のことを知っていたようで、「やべ。藤枝じゃん。行こうぜ」と、逃げるようにどこかへ行ってしまった。
……なんかわかんないけど、助かった。
彼はコンビニから出てきたところだったらしく、その手に袋を持っていた。
カーキ色のブルゾンを着て、下はラフなスウェット姿。
制服を着ていても同級生には見えないのに、私服だとより大人びた印象に感じる。
男たちが一瞬で怯んでしまうのもわかる気がする。
大きな身長と体格もそうだけど、この人には勝てないなという圧倒的なオーラを放っているから。
「お前さ、こんな時間に歩いてるとかどういうつもり?」
「どういうつもりって……なにが?」
「十一時過ぎてんだろ」
「まだ十一時でしょ」
「は?」
怒りの矛先が今度は私に向けられている。



