16歳、きみと一生に一度の恋をする。




そのあと、早退はせずに午後の授業を受けた。放課後になり、すっかり体調は回復していたけれど……。

「本当に本当にもう平気なの?」

冨山さんはバイトで早く帰らなきゃいけないのに、どうやら私がまた倒れるんじゃないかと心配してくれていた。

私、みんなに心配されてる。

少し前なら申し訳ないって思っていただろうけど、今はその気持ちが嬉しい。

「今日はバイトも休みだし、早めに寝るよ」

「そうしてね! なにかあったらすぐ連絡して! バイト抜け出して会いにいくから」

「はは、ありがとう」

そして校舎を出て、帰り道。冨山さん同様に、ひとりにさせたくないと晃が家の近くまで送ってくれていた。

「冨山と仲良しじゃん」

「うん。仲良くしてくれてるよ」

「そっか。よかったな」

晃は私のことなのに嬉しそうにしていた。

「そういえばね、冨山さんから晃の中学の話をちょっとだけ聞いたよ」

「うえ、マジ? ろくな話がなかっただろ」

「そんなこともなかったけど、なんか噂で看護師の人と……」

と、その時。会話がふいに途切れる。話しているうちに視界にアパートが見えていて、ちょうどお母さんが錆び付いている階段を降りてきた。

……ドクンと、心臓が速くなる。

私は遊園地の帰りのことを思い出していた。