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とある晴れた日に、カイラは王城へと戻ってきた。
まだ疑惑の晴れないアイザック第二王子の母であり、第二王妃である彼女に対して、周りの反応は様々だ。
間違いなく王の寵愛は彼女にあるのだからという理由ですり寄ろうとするもの。
疑惑の第二王子の母だからといってしり込みするもの。
侍女はおおむね、マデリン第一王妃を恐れて、遠くから伺うにとどまっていた。
カイラが連れてきた侍女は三人。
昔から彼女の傍に仕えている筆頭侍女のライザと、毒見係であるロザリー、そしてクロエである。
ロザリーが王城に上がるのは、デビュタントの日以来だ。
その時は、ロザリーに関心を寄せる人間などほとんどいなかった。
だが今は、カイラの傍についているだけで、その場にいるほぼすべての人間の視線が刺さってきた。
(カイラ様は、こんな中で暮らしてきたんだ)
大人しく、陰で人を支えることに喜びを見出すような彼女の性格で、王城暮らしは辛いことの連続だっただろう。
今にもうつむいてしまいそうなカイラを後ろから眺めながら、ロザリーは彼女を支えなければという意思を強くした。
カイラに用意された居室は、王の寝室から数部屋しか離れていなかった。
第一王妃の部屋よりも近いことを、口さがなく言うものもいて、廊下を歩いているうちに、カイラの顔は自然と足もとを向いていた。
とある晴れた日に、カイラは王城へと戻ってきた。
まだ疑惑の晴れないアイザック第二王子の母であり、第二王妃である彼女に対して、周りの反応は様々だ。
間違いなく王の寵愛は彼女にあるのだからという理由ですり寄ろうとするもの。
疑惑の第二王子の母だからといってしり込みするもの。
侍女はおおむね、マデリン第一王妃を恐れて、遠くから伺うにとどまっていた。
カイラが連れてきた侍女は三人。
昔から彼女の傍に仕えている筆頭侍女のライザと、毒見係であるロザリー、そしてクロエである。
ロザリーが王城に上がるのは、デビュタントの日以来だ。
その時は、ロザリーに関心を寄せる人間などほとんどいなかった。
だが今は、カイラの傍についているだけで、その場にいるほぼすべての人間の視線が刺さってきた。
(カイラ様は、こんな中で暮らしてきたんだ)
大人しく、陰で人を支えることに喜びを見出すような彼女の性格で、王城暮らしは辛いことの連続だっただろう。
今にもうつむいてしまいそうなカイラを後ろから眺めながら、ロザリーは彼女を支えなければという意思を強くした。
カイラに用意された居室は、王の寝室から数部屋しか離れていなかった。
第一王妃の部屋よりも近いことを、口さがなく言うものもいて、廊下を歩いているうちに、カイラの顔は自然と足もとを向いていた。



