ザックに追い立てられ、ケネスとクロエが出ていく。クロエは兄とのお出かけが楽しいらしく、腕を組んでご機嫌だった。兄弟だと知らなければ恋人同士か夫婦に見えるくらいだ。
ふたりが出ていくと、部屋に静寂が訪れる。ザックはコホンと咳ばらいをすると、ロザリーに席を進めた。
「クリスが最近お菓子作りに凝っているらしくてね。ロザリーにも食べて欲しいと言っていたようだから、持ってきてもらったんだ」
「そうなんですか! わあ、うれしいです」
やがてケネスが声をかけたのか、メイドがひとり入ってきて、お茶を入れて出ていく。
またふたりきりだ。最近は緊迫した場面も多く、こうして何の懸念もなく一緒にいるのはずいぶん久しぶりのことで、今までどんな話をしていたのかと考えても思い出せない。
ロザリーはなんだか緊張してしまった、せっかくのクリスのお菓子も味がわからないくらいだ。
「あの……」
「……なんか、緊張するな」
「そうですね」
同じことをザックも思っていたのかと思えば、少しだけ気が楽になる。
最近のカイラの状態、城での仕事、とロザリーは世間話をしながらお菓子を全て頂いた。
それを見ると、ザックは微笑んでベランダの方に向かう。
「星が綺麗だ。少し眺めないか?」
辺りはすっかり暗くなっている。藍色に彩られた空には宝石のような星がたくさんきらめいていた。
最近は忙しく、城の中からも出ることが無かったので空を見上げるのも久しぶりだった。
ふたりが出ていくと、部屋に静寂が訪れる。ザックはコホンと咳ばらいをすると、ロザリーに席を進めた。
「クリスが最近お菓子作りに凝っているらしくてね。ロザリーにも食べて欲しいと言っていたようだから、持ってきてもらったんだ」
「そうなんですか! わあ、うれしいです」
やがてケネスが声をかけたのか、メイドがひとり入ってきて、お茶を入れて出ていく。
またふたりきりだ。最近は緊迫した場面も多く、こうして何の懸念もなく一緒にいるのはずいぶん久しぶりのことで、今までどんな話をしていたのかと考えても思い出せない。
ロザリーはなんだか緊張してしまった、せっかくのクリスのお菓子も味がわからないくらいだ。
「あの……」
「……なんか、緊張するな」
「そうですね」
同じことをザックも思っていたのかと思えば、少しだけ気が楽になる。
最近のカイラの状態、城での仕事、とロザリーは世間話をしながらお菓子を全て頂いた。
それを見ると、ザックは微笑んでベランダの方に向かう。
「星が綺麗だ。少し眺めないか?」
辺りはすっかり暗くなっている。藍色に彩られた空には宝石のような星がたくさんきらめいていた。
最近は忙しく、城の中からも出ることが無かったので空を見上げるのも久しぶりだった。



