変わらぬ妹に安堵しつつ、ケネスは次にレイモンドに向き合った。
「ところで、レイモンド」
「はい?」
レイモンドは茶道具をいじる手を止め、ケネスの口元を見つめた。
「侯爵派だった警備兵を入れ替えなければならないこともあって、今回の捜査には相当の時間がかかるそうだ。その間、オードリー殿は王都を出ることができない。それに、クリスもそろそろ学校に通う年だ。どうだろう。君、しばらく王都に住む気はないかい?」
「そうですね」
それはレイモンドも懸念していたことだった。
裁判が終わるまで移動できないことを考えれば、クリスの学校は王都で選ばなければならない。
そして一度学校に入ってしまえば、なかなか移動させることは難しい。
「アイビーヒルの父に手紙を書いたんですが、ランディが料理の腕を相当伸ばしているようで、しばらくは俺がいなくても大丈夫そうではあるんです。でも王都に滞在するのであれば俺も仕事が必要です。このまま、伯爵邸の料理人として使ってもらうことは……」



