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王家の三兄弟が仲良く執務に励んでいたころ、イートン伯爵家の兄妹も、久しぶりの団らんを楽しんでいた。
「お兄様、お茶にいたしません? 今日はクリスがマフィンを焼いてくれたんですのよ」
「ああ、今行くよ。クロエ」
ケネスは本日休暇を取っている。
今はアイザックの側近として再び任命されたが、王太子となった彼に側近がひとりだけというわけにもいかないので、人数が増やされた。その分、ケネスとしては休みを取りやすくなっているという状況だ。
現在、レイモンドとオードリー親子はイートン伯爵邸に滞在している。
オードリーの証言は、アンスバッハ侯爵を裁くために必要であり、しばらくは王都に滞在してもらわなければならないのだ。
ケイティに淑女教育を受けながら、すでに伯爵邸の一員のようになっているクリスは、王都への滞在を喜んでいて、再びイートン伯爵邸で料理人として働くレイモンドから、毎日のようにお菓子作りを習っている。
ケネスもすでにクッキーやマドレーヌなどをご相伴に預かっている。あの小さな手でよく作れるものだと思うが、レイモンドの指導がいいのか、なかなかにおいしい。
紅茶の香り漂う室内には、クロエのほかに、レイモンドとオードリー親子がいた。ケネスが空いた席に座ると、「ケネス様、どうぞ!」と、にこにこ笑顔でクリスがマフィンを持ってくる。
瞳の色と同じライトブルーのドレスの上に、白のエプロンをつけていて、かわいらしい。
これはケイティの趣味かな、とケネスはぼんやり考える。
王家の三兄弟が仲良く執務に励んでいたころ、イートン伯爵家の兄妹も、久しぶりの団らんを楽しんでいた。
「お兄様、お茶にいたしません? 今日はクリスがマフィンを焼いてくれたんですのよ」
「ああ、今行くよ。クロエ」
ケネスは本日休暇を取っている。
今はアイザックの側近として再び任命されたが、王太子となった彼に側近がひとりだけというわけにもいかないので、人数が増やされた。その分、ケネスとしては休みを取りやすくなっているという状況だ。
現在、レイモンドとオードリー親子はイートン伯爵邸に滞在している。
オードリーの証言は、アンスバッハ侯爵を裁くために必要であり、しばらくは王都に滞在してもらわなければならないのだ。
ケイティに淑女教育を受けながら、すでに伯爵邸の一員のようになっているクリスは、王都への滞在を喜んでいて、再びイートン伯爵邸で料理人として働くレイモンドから、毎日のようにお菓子作りを習っている。
ケネスもすでにクッキーやマドレーヌなどをご相伴に預かっている。あの小さな手でよく作れるものだと思うが、レイモンドの指導がいいのか、なかなかにおいしい。
紅茶の香り漂う室内には、クロエのほかに、レイモンドとオードリー親子がいた。ケネスが空いた席に座ると、「ケネス様、どうぞ!」と、にこにこ笑顔でクリスがマフィンを持ってくる。
瞳の色と同じライトブルーのドレスの上に、白のエプロンをつけていて、かわいらしい。
これはケイティの趣味かな、とケネスはぼんやり考える。



