一方、合流したザックとロザリーの一行は、別荘地へと共に向かっていた。
そこで再会を喜ぶバイロンとナサニエルを、カイラは呆気にとられたように見つめた。
自分に内緒で事が進められていることを知った彼女は、多少なり不満があるようだが、アイザックが生きていたことにホッともしたのか、倒れ込むように眠ってしまった。

「待たせたな」

客間にカイラを寝かせたナサニエルが戻ってくる。ロザリーはおずおずと彼を見上げる。

「あの……カイラ様はいかがでしたか」

「心労が溜まったんだろうな。主に私のせいだ。ロザリンド嬢は気にしなくてもいい」

「ですが、侍女として着いていながら、カイラ様に心労をかけるなんて」

「ロザリー、気にする必要はない。父上が秘密主義なのがいけないんだ」

慰めるようにザックが続ける。

「だが、カイラは嘘がつけないのだ。すべてを明らかにするわけにはいかないだろう」

とナサニエルが反論する。
そんな会話も楽しんでいるように見えて、ロザリーもホッとして、肩の荷が下りた気分だった。

「……で、父上は今後どうするつもりなんです?」

室内にはアイザック、ロザリー、ケネス、ナサニエル、そして半分ソファに体を預けているバイロンと、それを支えるジョザイアがいる。

ナサニエルはバイロンをちらりと見て、小さな声で続けた。

「私は今の地位から下りようと思う。バイロンと同じ、死んだ者になろうと思ってな」

少しの躊躇もなく語られたそれは、ナサニエルの中ではもう決定事項のようだった。