「そうですな。結婚すれば一人前という印象も与えられますし」

「さすが伯父上、話が分かる」

賛同を得られて、コンラッドの顔が晴れ渡る。
感情を隠し切れないのも、王族としては甘いところだ。が、様子をうかがう侯爵からすれば、分かりやすいことこの上なく、非常に扱いやすい。

「とはいえ、伯爵家との話し合いを詰めなければなりませんがね。イートン伯爵は反対するでしょうな。卒業後ということでも不満顔だったのだし」

「であれば、先に即位してしまえばいい。王命とあれば、イートン伯爵だって逆らえはしないだろう」

「そうですね。陛下の意向に逆らえるものはいませんからな」

コンラッドがその気になったのを見て、侯爵はほくそ笑んだ。
彼にとっては、コンラッドを王にさえつけてしまえばいい。
もし本当にクロエが諜報的な動きをしていたのだとすれば、そのときに殺してしまえばいいのだ。そのための毒は、オードリーに作らせている。

「では、早く即位の儀を進めましょう」

アンスバッハ侯爵の黒い笑みに、コンラッドは無邪気に頷く。
彼にとって、コンラッドは今までで一番理想的な傀儡の王だった。