アイザック行方不明の報から、一週間がたつ。情報の少なさにすっかり参っているのはカイラだ。

「大丈夫ですか? カイラ様」

「ごめんなさい。大丈夫よ」

よく眠れていないのか、顔色が悪い。このままでは先にカイラのほうが倒れてしまいそうだ。

ロザリーは、カイラの気持ちが少しでも軽くなるように気鬱に効くお茶を入れたり、ザックの子供の頃の話を聞かせてもらったりしながら、その期間を過ごした。
元気なザックの思い出は、自らも不安を隠しきれないロザリーにとっても慰めとなる。

「昨日、ケネス様から手紙が届いたんです。ザック様の捜索に力を尽くしていると書いてありました。だからきっと見つかりますよ」

ケネスはいつも自信満々で、それが文面からも伝わってきて、ロザリーは久しぶりに口もとが緩んだ。
【カイラ様を守っていることが、結果的にザックのためになる。ロザリーはそれに専念してほしい】とも書かれていた。
たしかに、今ロザリーにできることはそれしかないのだ。だったらやれることをやるしかない、とロザリーはようやく気持ちを落ち着けることができた。

そんなときだ。

「失礼します。クロエです」

ロザリーはカイラと目を合わせた。クロエがコンラッドの婚約者になってから、こうして公然とカイラの部屋を訪れることはなかったのだ。