「先ほどケネスも言ってたいだろう。民の不満は高まっている、と。俺の体調が悪くなったことから、父上は政務への意欲を失っていた。あれはなぜなんだろうとずっと考えていたんだが、ここにきて落ち着いて考えられるようになって分かった。父上は、自分で伯父上を排除するのが難しいと考えたんだ。一方で、一部の議員と平民からはアイザックを推す動きが出ている。お前が不利な立場に立てば立つほど、お前を推す人間たちは奮起するだろう。対立構図としては一番美しい。貴族同士が政権争いをするよりも、平民対貴族の構図を作って国に変革をもたらすほうが、後々この国のためになると考えられたのだ」
「……は?」
バイロンの言うことが信じられなかった。
民の不満は、国の政治に向かっている。対象は個人ではなく貴族全体だ。当然国王も含まれる。
変革が実現すれば、侯爵だけじゃない、国王だって粛清の対象となってしまう。
「それじゃあ、父上が……」
「そう。父上は粛清されるべき政権の代表となるつもりなんだ。自らの立場を道連れに、アンスバッハ侯爵を追い落とそうとしているのだろう」
「馬鹿な」
どうしてそんな後ろ向きな策を思いつくのか。ザックには信じられない。
だけど妙に父親らしいと感じてしまうのが、なお悔しく感じる。
「父上は、新しい国家の先導役にアイザック、君がなるべきだと思っているのさ」
「は?」
今日は散々驚かされたが、これが一番の驚きだった。
「……は?」
バイロンの言うことが信じられなかった。
民の不満は、国の政治に向かっている。対象は個人ではなく貴族全体だ。当然国王も含まれる。
変革が実現すれば、侯爵だけじゃない、国王だって粛清の対象となってしまう。
「それじゃあ、父上が……」
「そう。父上は粛清されるべき政権の代表となるつもりなんだ。自らの立場を道連れに、アンスバッハ侯爵を追い落とそうとしているのだろう」
「馬鹿な」
どうしてそんな後ろ向きな策を思いつくのか。ザックには信じられない。
だけど妙に父親らしいと感じてしまうのが、なお悔しく感じる。
「父上は、新しい国家の先導役にアイザック、君がなるべきだと思っているのさ」
「は?」
今日は散々驚かされたが、これが一番の驚きだった。



