俺様天然男子

昨日のことはなかったことにでもなったのか、友達と楽しそうに笑う名前も知らない女。



俺が近づくと、ピタッと話をやめた。



「なんだよ」

「昨日のこと」

「は?話しかけんなよ、キモいから」

「それでもいいけど。ごめん、やりすぎたっぽい。それだけ」

「えっ…」



ちゃんと謝って、頭も下げたから。



スッキリした。



もう思い残すことなく、関わらなくていいや。



「理音って、本当にすげーな…」

「悪いことしたら謝るんだって、幼稚園児でも知ってるよ?」

「そうだけど…。ヘッドホン壊されて、あそこまで暴言吐かれたのによく謝れんな…」

「別に気にしてない」

「そこがお前のいいとこだよ。強いんだな、理音」



強いのかな?



ぼっちだけど。



あっ、今は違ってた。



ちゃんと『友達』がいるからね。



「で、どこで練習するつもり?」

「お前んちって、山奥にあったりしねぇ?」

「ここから歩いて15分」

「だよなぁ〜…って‼︎お前んち、金持ち⁉︎」



そうか、この辺ってお金持ちが多いんだっけ。