俺様天然男子

立ち上がった理音くんは、愛花を追いかけ、肩に手を置いた。



とっさの行動で、山口くんも対応できてない。



「触んなっ‼︎」



振り向いた愛花の、胸ぐらを掴む理音くんの表情は、髪のせいで確認できないけど。



ものすごく、怒ってる。



「ヘッドホン、壊れてんだけど」



あっ、そこ?



『キモい』に対してじゃなくて?



低く、男らしい声…。



こんな状況なのに、その声にまでドキドキした。



「し、知らないってば‼︎」

「物は大事にしろって、親に教えられなかったのかよ。クズだな、お前」

「弁償すりゃあいいんだろ‼︎離せよ‼︎」

「お前に弁償してもらいたくねぇから。死ね、クソが」



そう言って、突き飛ばすように手を離した。



ゴミ箱の近くに投げられた本を拾い、席に戻る理音くんに、近づける気がしない。



あの優しい彼が、こんなにも怒っている。



まるで別人…。



理音くんって、怒ると怖いんだ…。