【理音】



由乃とケンカしてからしばらく、俺たちは憧れの野芝さんに誘われてステージに上がった。



今日は由乃も紗雪も見に来ていて、俺は野芝さんに負けないように叫ぶ。



まぁ、前座みたいなものだけど。



じいちゃんが作ってくれた、俺たちのグッズも、すぐに売れてくれるようだ。



ものすごく気持ち良くて。



俺は今日も、野芝さんを横から観察する。



「はーい、今日hack見に来た人ー。これ、俺らのツアーだからね?hackのファンは帰っていいよー」



今日も素敵だ、野芝さん‼︎



もう、大好きですっ‼︎



「アイツら、1回俺らの誘い断ったんだけど。生意気だよねぇ。なんか、平日は学校だからダメだとかって。本当、面白いヤツらだよ」



野芝さんが弄ってくれると、野芝さんたちのファンも、俺たちに興味を示してくれる。



本当にありがたい…。



そして、マジでカッコよくて。



1回裏にやって来た汗だくの野芝さんに、タオルを渡す。



「お前、出れる?俺らの曲、頭に入ってっか?」

「は、入ってますっ‼︎」

「歌詞、間違えたら半殺しだからな。呼んだら出てこい」



えっ、えっ…えっ⁉︎