小さな頃から歌っていたので、歌うことは好き。



声変わりしてから始めたネットのチャンネルで、顔を隠して歌を配信している。



中にはアンチもいるけど、それなりにファンがいたりして。



結構評判はいい。



「いいんだよ、理音は。好きなように人生楽しんでるんだから。ね?」



理解のある父は、俺の自慢でもある。



尊敬もしているし、とてもいい父親だと思う。



「ねぇ、父さん」



肉じゃがを食べながら、父に自分から話しかける。



欲しいものがあるんだ。



「新しいマイク…欲しいんだけど…」

「俺のじゃダメ?」

「ダメじゃないんだけど…」

「そっか」



『わかった』



そう言ってくれると思っていた。



必要なものは買い与えてくれるし、そんなにワガママでもない。



自分から強請るものは、本や配信に必要な機材だけだし。



「自分で稼ぎなよ」

「えっ…?」

「理音ももう17だし、バイトもOKな学校だし。欲しいもの、自分で買ってみるといいね」



うそ…。