俺様天然男子

あまりにも高い完成度と、理音くんの人を惹きつける歌声。



「結構…よくね?」

「久しぶりの新人、当たりかも」

「歌うめぇ‼︎」



戻る人たち。



外にまで漏れた音に、誘われる人。



「やっぱり…たまんない」

「うん」

「ヤバっ、嵐生とヤリたいわ」

「はははっ‼︎卑猥すぎっ‼︎」



もっと、もっと。



みんなに聴かせてよ。



4曲。



それだけなのに、まばらだったお客さんたちが半分以上戻った。



「リトルじゃん‼︎歌唱力やべぇな」

「うわっ、カッコいい」



ほんと、敵わないな…。



もう、好きにしていいよ。



どこにでも行けばいい。



あたしはただ、理音くんについて行くだけ。



それがどこであろうと。



「紗雪っ‼︎前行こう‼︎」

「うんっ‼︎」



最前列まで行くほどの勇気はなかったはずなのに。



ステージで歌うみんなに少しでも近づきたかった。