俺様天然男子

だから理音くんは『知名度が欲しい』と言っていたんだ…。



ライブハウスは、まばらな人。



こんな人数でやるの…?



「あれじゃね?リトルヘブン」

「あぁ、あの歌うまくて顔のいいヤツね」

「ボーカルだけじゃねぇの?」



期待なんかされてない。



この空気感は、いたたまれない。



そして、ついにステージに上がるみんな。



「こんばんは、hackです。はじめましてがほとんどですよねー。俺らにとっても初ライブなんで。あっ、そこのお兄さん。聞いといた方がいいっスよ?俺らの初日に立ち会えたこと、後悔させないんで」



山口くんの言葉は、出て行こうとしていたゴリゴリのロックファンの足を止めた。



すぐに始まった演奏。



ひとことも喋らない理音くんが、いつもと違う目をしていた。



『本気』



そんな目だった。



「すっ…」



息をして、吐き出す。



それは空気ではなく、叫び。