俺様天然男子

苦しいくらいに抱きしめられて。



「いっぱい触らせてあげる…由乃…」



甘い誘惑が降りてくる。



人生初のお姫様抱っこでベッドに寝かせられたと思えば、優しいキス。



何度も何度も、いろんな場所に。



「俺、初めてだから…なんか間違ったらごめんね?」

「お互い様でしょ?」

「ふふっ、頑張る」



ドキドキしててすごく苦しい。



恐る恐るあたしに触れる理音くんの手がもどかしい。



「あたし…壊れないよ…?」

「…………怖いんだもん」

「理音くん…可愛い…」

「可愛いのは由乃だよ」



名前を呼ばれるだけで泣きそうになる。



幸せすぎて、ギューっとなった心臓が潰れてしまいそう。



「不本意だけど、紗雪と嵐生に感謝しなくちゃ」

「山口くんのドヤ顔が目に浮かぶ…」

「ははっ、そうだね」



話しながら、お互いに手探り状態。



ガッチリした理音くんの腕にしがみつき、泣くのを我慢する。



「いっ…た…い…」

「ん、ごめんね?ちょっと…タイムね」

「大丈夫…だっ…うぅぅ…」

「由乃、力…抜ける?」

「やっ、ムリっ…」

「わかった。落ち着くまでこのままね?」



たぶん、理音くんもすごく辛かったんだと思う。



苦しそうな顔。



あたしの肩に顔を埋めて何度もふぅーと息を吐く。