俺様天然男子

【由乃】



熱を出した理音くんは、いつもの理音くんではなかった。



あんなに強引な理音くんを、あたしは知らない。



押さえつけられた手首。



『逃がさない』と言われているような、あたしを射抜く瞳。



こじ開けられた唇から入り込んだ熱い舌…。



流される。



そう思った。



あのまま理音くんが寝てくれてよかった…。



「うぉ‼︎腹すげー‼︎」

「だからもやしっ子じゃないんだってば」

「腕もすごくね⁉︎」

「鍛えてるから」

「格闘家にでもなんの⁉︎」

「俺、痛いの嫌い」



体育で、女子はバドミントン、男子はバスケの体育館。



理音くんがジャンプした時に見えた腹筋に、男子が群がっている。



「あの顔であの体…。さすが、期待を裏切らない男」

「すごかった、理音くんの体」

「見たの?」

「見た。お風呂上がり」

「わぉ…。あっ、でも嵐生も毎日同じ筋トレしてるって言ってた」



体力作り?



もしかして歌うためにあんなにバッキバキにしたの…?



もしかして、理音くんって…将来歌手志望?