俺様天然男子

【由乃】



話しかけられないまま、どれほど経ったのだろう。



最近の天道くんは、クラスのムードメーカーでもある山口くんと連み始めた。



一方的に山口くんが懐いている感じもするけど…。



教室で一緒にご飯食べたり、一緒に移動したり。



みんな『なぜ…?』という視線と『イジメ?』という、疑惑の目。



だけど、山口くんは天道くんをパシリにしてるわけでもなく、楽しそうにしている。



ずるい…。



あたしも話したい…。



苦しくて、飲めずに飾ってあるカフェオレに、『話せますように』と願いを込めて祈ることしかできないでいる。



「ねぇ、由乃」

「んー?」

「今日、由乃んち行っていい?」

「いいけど、ヒマなの?」

「うん」



グループ内でいちばん気の合う紗雪(さゆき)が、うちに来るらしい。



紗雪はあまり騒がない、クールなタイプではある。



高校に入ってから仲良くなって、あたしは紗雪の落ち着いた雰囲気がとても好きだ。