俺様天然男子

明日はバイトが休みだし。



うん、少しくらい夜更かししても平気だ。



「ん?そのギターどうしたの?」

「同級生の…。なんか許せないくらい手入れされてなくて腹立ったから持って帰ってきた」

「メンテしてやんの?友達?」

「同じクラスってだけ。父さん、弦もらっていい?今日1本変えたけど、他のもいつ切れるかわかんない」

「ははっ、好きにしていいよ。俺はギターじゃないしねー」



ご飯も早めに食べ終え、風呂に入ってから部屋でギターと向き合う。



よしよし、かわいそうに。



雑に剥がされたステッカーの痕跡。



許せない…。



これもキレイにしよう。



「お兄ちゃん、これ、前借りたCD。あっ、ギター?珍しいね」

「まぁ、人のだから」

「友達?」



みんな、なんで『友達?』って聞くんだ。



俺にはそう呼べる相手はいないって知ってるくせに。



「やっぱり、そうやって髪上げてる方がいいよ」

「うるさいよ、泉…」

「はいはい、もったいなぁい」



いいんだよ、これで。