俺様天然男子

全然手入れしてないじゃん。



なんかもう…許せない。



「モエさん、楽器のレンタル、割り引くことできないですか?」

「会員登録特典の1時間無料券と交換でいいならタダで時間まで使っていいよ」

「ありがとうございます」



なので、そのことを伝えて、メンテし終わったギターを貸し出し。



「いいギターなのに…」

「うわぁ、そうやってやるんだ…」

「はい。楽しいですよ」

「さっぱりわかんないや」



俺の力でキレイになるギター。



時間もないからガッツリできなかったけど。



練習が終わって出てきた3人の、満足げな表情。



楽しかったんだ…。



ろくに練習になってないはずなのに。



「これ、やっときました」

「すっげ‼︎えっ、天道ってマジすげー‼︎」

「もう少し時間あれば、もっと治せるけど…」

「やって‼︎これ、持って帰っていいから‼︎学校で渡してくれりゃあいいし‼︎あっ、金なら払うよ?今日は持ち合わせが少ないって感じなもんで…」

「なら、預からせてもらいます。でも…お金いらない。俺、素人だし」

「お前、ギャップありすぎ…」



バイトが終わってから、同級生のギターを連れて家に帰った。