もっと、もっとと、欲が膨らむ。



抱きしめたい…。



「理音くん、どこがツーブロックなの?」

「ん?ここ」

「わぁ‼︎本当だっ‼︎」

「なんかね、いい美容師さんだったよ。『かっこよくしてください』って言ったのに、悩みもせずにバシバシ切ってくれた」

「そのアバウトな注文の仕方…」

「だって、どんなのが自分に合うかなんてわかんなくない?」



だから、人から見てカッコいいと思えれば、雛森が恥ずかしくないかなって思ったんだ。



外見にこだわりなんてないし、俺はナルシストじゃない。



自信なんてもの、俺は持ってないから。



「すごくカッコいいよ」



雛森がそう言ってくれるなら、パンチパーマでも平気でできる気がする。



俺ね、雛森のためにいろいろしてあげたいんだよ。



こんな俺を好きになってくれて、いろんな感情に気づかせてくれて。



言葉で言ったら、『なにが?』って言われてしまいそうだから、態度で示すことにした。



その結果が、まず髪を切ること。