俺様天然男子

話が逸れてくれたので、無理矢理音楽の話をして落ち着くのを待った。



「行く?音楽部屋」

「行くっ‼︎」



はぁ…。



相棒に救われた…。



心の中で『ありがとう』とお礼を言って、枕元に戻したぬいぐるみ。



部屋を出て、雛森を音楽部屋に連れて来た。



「すごい…。これこれっ‼︎このレコーディングみたいなマイク‼︎」

「部屋の電気消して、そこの照明つけると、俺の顔黒くて映んないんだよ」

「シルエットだもんねー。すごいねぇ、なんか歌って?」

「は?」

「えっ、生で聴きたいじゃん」



なんて無謀なことをいうヤツだ。



雛森の前で歌えと…?



「恥ずかしいじゃん…。雛森が歌うなら、俺も歌うよ」

「絶対ヤダ」

「なら、俺もヤダ」

「ケチー。独占できると思ったのにぃ…」

「…………そんなに聴きたい?」

「うん。でも、理音くんが嫌がることを無理矢理やらせるのはヤダから…諦めるよぉ…」

「いいよ。何がいい?」

「えっ…いいの…?」



俺の好きなこと、知ってほしい。



見ててね、雛森。