そして、俺のポケットにある例のアレ。



できれば、雛森に見つからないようにどっかに隠したい。



「いろいろ入ってるから、好きなの飲んでいいよ。俺にお茶とって?」

「うん。あっ、本当にいろいろあるね」



よし、今だ。



ウォークインクローゼットに走り、中に入って着ないジャケットのポケットに隠した。



父さんのせいで、こんな後ろめたさを感じるとは…。



お茶とカフェオレを手にしてる雛森に不思議そうな顔をされたけど、何も言わずにお茶を受け取った。



「宿題、持ってきた?」

「うん。早く終わらせたい」



小さいテーブルに広げた宿題を、俺が教えて雛森が解く。



可愛い字…。



雛森っぽい。



「すごい、嵐生より楽だ」

「あたしだって赤点はとってないもん」

「あっ」

「えっ?」



髪になんか着いてる。



風が強かったからか、草みたいなの。



「芝生でゴロゴロしたの?」

「し、してないっ‼︎」



うわっ、顔真っ赤だ。



その顔見ると心臓がきゅんと軋む。



もっと触ったら…どうなっちゃうんだろう。



「くふふっ…」

「えっ、ちょっ…」



頭を撫でた。



さらに顔が赤くて、うるっとした目。



可愛いすぎる…。



それに、雛森の髪はサラサラで気持ちいいね。