「彩愛」
放課後、帰ろうとしたときのことだった。
この学校で、私のことを下の名前で呼ぶのは、こいつしかいない。
「なに?洸夜(こうや)」
同い年の弟、霜月 洸夜。
違うクラスで、階も違い、関わることはほとんどない。
「雨。傘持ってない?」
あー、そういえば。
「持ってるよ、折り畳み傘」
「入れて」
洸夜は家族の中で1番気にかけてくれている。
と思う。
ただ少し残念なのが、極度のマザコン。
家ではお母さんにくっついてばっかりだから、私には関わらない。
「うーん。小さいな」
…入れてもらうのに文句はないだろ。



