「ただいま」
私はそっと、玄関のドアを開けた。
「彩愛!」
「‥‥‥洸夜」
「心配した」
「ごめん」
私は顔を直視できなくて、視線を下に向ける。
「あ、あの‥‥‥」
私は声を絞り出す。
「ごめん、避けて、ごめん」
そう言うと、洸夜は玄関のところに降りてきて、頭の上に手を置いた。
「それは、俺も悪かった。ごめん」
私は涙が溢れそうになってクッと唇を噛む。
「ちょっと話そう。俺の部屋、行こ?」
私はコクリと頷いた。
洸夜について、階段を上る。
洸夜は部屋のドアを開けてーしめた。
「ごめん‥‥めっちゃきたねえ」
もう。肝心なところで決まらないんだから。
私はクスッと笑った。