「それは瀬川にも言えることだ。
君は彼女のことを心から愛してる。だから、彼女を守ろうとしてるんだろ?」

なんで長井さんは分かるんだ?

「はい…」

「間違ってるとは言わない。だけど、本当にいいのかな?」

冬真に言われたことを思い出した。

なんでみんな、こんなこと聞くんだ?

やっぱり間違ってたのか?

「彼女自身の幸せを考える前に君の幸せを考えたらどうかな?」

俺の幸せ?


俺は目を閉じた。

俺の幸せは二葉とずっと一緒にいること。

二葉が笑っていること。

二葉に触れること。

全部、あいつが居なきゃだめじゃん。


「俺の幸せは二葉です」

「やっぱりそうなんだね。それじゃあ、僕が言いたいこと分かるよね?」

長井さんが言いたいこと?

何を伝えようとしてくれてるんだ?



「…幸せを全力で取ってこい。
幸せじゃない奴がファンを笑顔に出来るわけねぇだろ。まずお前が幸せになれ。いいな?」

「はい!!」

いつもと違う長井さんに驚きながらも、俺はおじきした。

「ありがとうございます。お陰でやるべきことが見つかりました」

「役に立てて良かったよ」

「はい!ありがとうございました!!」

俺は事務所へ急いだ。