はあ…。

景斗くんのせいでハラハラドキドキのデートだったよ。


帰りの電車は満員で、景斗くんってバレないかすごく心配した。

「こっち」

景斗くんは小声でわたしをドア側で誘導した。

そして、景斗くんに守られる感じで電車に揺られた。

満員過ぎませんかね、この電車。

景斗くんの顔とくっついちゃいそうで、ヒヤヒヤした。

「ねぇ、誰にもバレないようにキスしてみる?」

はぁ!?

「な、に言ってるの?」

「じゃ、いいね」

よくない!

「……んっ」

「しー、声出すとバレるから」

「……っ」

景斗くんは小さいわたしを隠すようにキスしてきたけど、バレてたと思う。

絶対そうだよ。

気づかないはずもない。

その上、芸能人だってバレたら、それはそれで大変で……。

とにかく、アイドルの瀬川景斗だってバレなくて良かったけど、キスしてるとこ見られたのは恥ずかしかった!

なんて、言えるはずもなく。

「ねぇ、二葉」

「な、なんでしょう」

「ほんと、何回キスしても足りないって思うのはなんでだと思う?」

知らないよっ!

わたしは足りてるから!

「そっか、両思いになれたからか」

いやいや、両思いになる前からもされてましたが…。

「じゃ、二葉に振り回された分するわ」

わたし、振り回わしたことないんだけど。

「あ、やっぱりその倍にして返すね!」

返さなくていいから。

「もっと、俺にくっついて欲しいな」

そんなこと言われたら、抱きつきたくなるよ。