僕の背後にナリスマシ

「いやぁ、お前にも聞かせたかったな。」
 周治が言ってるのは大悟と元上司との通話内容だ。警察署で妙高が大悟の名前を出すと担当の警官は直ちに上司に報告した。その上司が大悟の元上司に連絡をして元上司が大悟に電話を掛けた。さすがに警察だけあって行動は速い。

上司〈 もしもし、青梅さんの携帯でございますか。〉
大悟〈 そうです。お久しぶりです。〉
上司〈 大悟、 突然で悪いな。今日一杯やらないか。色々と話したいことがある。〉
大悟〈 構いませんよ。ご馳走になっていいんですか。〉
上司〈 構わんよ。それとな、警察内部のことはあまり一般人には喋らないでくれ。 烏賊墨樽(いかすみだる)(居酒屋)に5時で大丈夫か。〉
大悟〈 大丈夫です。〉
上司〈 それじゃあ、待ってるぞ。〉

 大悟は携帯をスピーカーにして上司と話していたので内容は周治にも筒抜けだった。
「 これから元上司と会ってきます。今日は潮がいいんで、ずっと釣りをしていたかったんですけどね。」
 大悟は残念そうに自分の車に戻った。