僕の背後にナリスマシ

 妙高と周治は家飲みをしながらラジオを付けっぱなしにしている。盗聴しているDJ達はいったいどんな心境なのだろう。盗聴の対象がBGMにしているのは自分達の放送だ。つまり盗聴器からは自分の放送も聞こえてくるのだ。

「こうやって聞いてるとDJの性格がよくわかるな 。」
 周治は各々のDJの性格がどうなのかと話を切り出した。
「レッドは結構考えるタイプだ。で、コンプレックスあるんじゃないか。 役者というか俳優になりたかったみたいだぞ。逆にブルーは何も考えてねえよ。大馬鹿野郎の糞馬鹿野郎だ。お笑い芸人志望だったみたいだな。 話は面白くねぇ。ただギャーギャーと喋りまくってるだけだ。イエローはガキがそのまま大きくなった感じだな。体は大人、頭は子供。それで注目を浴びなきゃカチンとくるみたいだな。パープルが一番陰湿だ。 それでレッド以上にコンプレックスの塊だ。グリーンは他の四人とは少し距離を置いている 。」
 妙高も同じような考え方だと話し始めた。
「お俺も同じような考えだ。レッドは結構悩むタイプだ。で、 やっぱ業界人だけあって目立ちたがりだな。自分が一番目立ってないと自分より目立っている奴を攻撃する。ブルーはめちゃくちゃ嫌われてるな。確かにに何も考えずに喋る。」
「ブルーは行動も滅茶苦茶だ。ラジオ局の打ち上げで2次会から3次会に行く時、下半身裸で 2件目から3件目に行ったことあるみたいだぞ。露出狂だ。 イエローはお前の才能を妬んでそうだしな。」
 ブルーの半裸疾走事件を聞いた妙高は〈やっぱりな。〉という顔してさほど驚いた様子ではなかった。 むしろイエローに才能を妬まれるわけの方が理解できない。
「 俺に才能なんてあるのか。」
 妙高は言った。
「お前は多少辻褄が合わなくてもその場で話を作るだろう。俺はどうやってお前が物語を作るのか分かってるけどな。あいつには分かんないんだろう。あとな、俺もびっくりしたがパープルは恐ろしく陰湿でこいつもコンプレックスの固まりだ。で、対象を必要以上に攻撃する。こいつアカウントたくさん持ってそうだな。紫にも色々あるしな。青紫、赤紫、群青にインディゴやバイオレットも紫に近いと考えればかなりの数だ。なにしろ役者だぞ 。」